*本会の会員は会則により以下のようになっております。
『この会の会員は次の①、②をともに満たすものとする
① 卒業後 3 年目以上、10 年目以内の医師、もしくは家庭医療後期研修プログラム開始後8 年以内の医師であること。
② 日本プライマリ・ケア連合学会員であること。』

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2016年2月24日水曜日

表題翻訳プロジェクト 雑誌名:American family physician 2015年1月1日号 (翻訳者 大浦誠)

海外家庭医療雑誌/ 表題翻訳プロジェクト副代表&投稿担当の内堀 善有(生長会阪南市民病院救急科)と申します。
マルチポストにて失礼します。
尚、本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が 含まれており、詳細に関しては原著に当たることを推奨いたします

 表題翻訳プロジェクト 雑誌名:American family physician 2015年1月1日号 (翻訳者 大浦誠)

 Article
 ◎英語題名:Nonsurgical Management of Knee Pain in Adults
 ◎翻訳題名: 成人における膝痛の非外科的管理
 ◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26554281
 ◎一言コメント:慢性膝痛を管理するために理学療法との組み合わせで最初に使用される経口鎮痛薬はアセトアミノフェンと非ステロイド性抗炎症薬である。
 米国整形外科学会は、変形性関節症にグルコサミンやコンドロイチンを補給しないことを推奨している。
 手術の候補ではない患者では、オピオイド鎮痛薬は、保守的な薬物療法が無効である場合にのみ使用されるべきである。変形性膝関節症と膝蓋大腿疼痛症候群には運動療法が基本的である。
 減量は変形性関節症を有するすべての患者とBMI25以上の患者に奨励される。
 外傷性膝靭帯損傷や靭帯断裂を安定化させる以外の慢性膝痛へのニーブレースの有効性は不明であり、理学療法から置き換わるべきではない。
 下肢装具は、前膝の痛みのために役立つことがある。 コルチコステロイド注射は、変形性関節症患者における短期の疼痛緩和に有効である。
 ヒアルロン酸注射の利点は議論の余地がある。

 ◎英語題名:Common Questions About Pressure Ulcers
 ◎翻訳題名: 褥瘡に関する一般的な質問
 ◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26554282
 ◎一言コメント:身体機能・認知機能の低下による運動制限のある患者は褥瘡のリスクがある。高リスク患者は褥瘡予防のための支持体表面の評価と、エアマットを使用すべきである。医師は褥瘡の大きさや臨床的特徴を記載する必要がある。洗浄は過酸化水素などの腐食剤を避け、生理食塩水または水道水で行う。ドレッシングは、湿ってはいるが、濡れてはいない傷が治りやすい環境にすべきである。感染の存在は臨床判断により決定され、例えば新たな痛みや徐々に悪化する痛みは褥瘡の感染を疑う。褥瘡治療においては、患者の心理状態、動作の状態、認知機能の状態を認識すべきである。目標と長期予後だけでなく、社会的、経済的、介護資源の側面も治療に考慮すべきである。

 ◎英語題名:Obsessive-Compulsive Disorder: Diagnosis and Management
 ◎翻訳題名: 強迫性障害:診断と管理
 ◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26554283
 ◎一言コメント:強迫性障害(OCD)は、著しい苦痛や障害を起こしうる慢性疾患である。兆候や症状が様々であり、しばしば見落とされがちな複雑な疾患である。早期発見と特異的治療で改善が見込めるが、診断がしばしば遅れる。患者は治療で有意な改善を経験することができ、一部は寛解を達成できる。推奨される第一選択治療は認知行動療法、特に暴露・反応妨害法(ERP)(訳者注:脅迫行動を不安が減少するまでおこなわないこと、脅迫行動を行わないのに不安が減少する経験を積み重ねる)とSSRIである。OCD患者は他の適応症よりも多いSSRIの投与量を必要し、治療の応答期間は長めである。SSRIの長期投与は再発防止に有効である。重度の症状または初期治療に反応が乏しい場合、精神科医に紹介すべきである。治療抵抗性OCDにはクロミプラミンまたは非定型抗精神病とSSRIの増量などの治療がある。OCDの患者には密接に精神科併存疾患と自殺念慮を管理する必要がある。

 ◎英語題名:A Systematic Approach to the Evaluation of a Limping Child
 ◎翻訳題名: 跛行する児への体系的アプローチ
 ◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26554284
 ◎一言コメント:跛行は通常の年齢に応じた歩行パターンと比較して不均一、痙攣、面倒そうな歩行が見られたものと定義される。原因は痛み、脱力、変形などである。最も頻度の多い診断は一過性滑膜炎である。急性の跛行の原因には挫傷、足の異物で、骨折、骨髄炎、敗血症性関節炎、反応性関節炎、ライム関節炎などがある。慢性の波高の原因はリウマチ性疾患、皮膚筋炎、急性リウマチ熱、炎症性腸疾患、およびSLEがある。身体所見で局所の所見があれば、前後と側面像のレントゲン検査を行う。身体所見に局所所見がない場合でも両下肢のレントゲン検査をすべきである。臨床検査は病歴と身体所見によって導かれる。体温が38.5度以上で、荷重に対して拒否し、ESR
40mm/h以上、白血球12000/μl以上、CRPが20mg/dL以上であれば敗血症性股関節炎を疑うべきである。

 Department
 Keeping Up to Date
 POEMs
 ◎英語題名:CT Coronary Angiography in Patients with Suspected CAD: No
 Short-Term Benefit, Increased Rate of Invasive Angiography
 ◎翻訳題名: 冠動脈疾患が疑われる患者へのCT冠動脈造影:短期のメリットはなく、侵襲的血管造影が増加する
 ◎リンクページ:http://www.aafp.org/afp/2015/1115/p928.html
 ◎一言コメント:冠動脈疾患が疑われた場合、冠動脈CTは患者の症状や入院には短期的な影響を及ぼさなかったが、冠動脈血管造影の数を増加させた。
 さらに、CT冠動脈造影を受けていた患者の多くは、予防的処置および抗狭心症治療が行われた。 (エビデンスレベル2B)

 Clinical Evidence Handbook
 ◎英語題名:Scabies
 ◎翻訳題名: 疥癬
 ◎リンクページ:http://www.aafp.org/afp/2015/1115/p919.html
 ◎一言コメント:疥癬治療薬で話題となっている薬はペルメトリン[訳者注:日本ではイベルメクチン(ストロメクトール)とイオウ外用が承認されているが、その2剤よりも効果があるという理由で保険収載の承認待ち]は28日以内に疥癬の臨床的治癒を高めることで非常に効果的。局所クロタミトン(オイラックス)も有効である。

 Practice Guidelines
 ◎英語題名:AAO–HNSF Releases Guideline on Allergic Rhinitis
 ◎翻訳題名: AAO–HNSFはアレルギー性鼻炎のガイドラインを発表した
 ◎リンクページ:http://www.aafp.org/afp/2015/1115/p942.html
 ◎一言コメント:症状、生活の質を妨害する患者に、鼻腔内ステロイドおよび第二世代抗ヒスタミン薬が強く推奨されている。
 第二世代抗ヒスタミン薬のほうが鼻腔内ステロイドよりも効果的である。
 治療に抵抗がある場合、特異的IgEや皮膚や血液検査が推奨されるが、アレルギー性鼻炎の診断においては不確実である。併用療法は、単独の鼻腔内ステロイドがアレルギー症状をコントロールできていない場合に選択される。


【参加メンバー】
飯島研史:群馬家庭医療学センター
内堀善有:阪南市民病院 救急科
北本晋一:亀田ファミリークリニック館山
佐々木隆徳:みちのく総合診療医学センター
佐々木隆史:京都家庭医療学センター 医療生協 こうせい駅前診療所
成島仁人:(特定医療法人暲純会)津ファミリークリニック
廣瀬英生:郡上市地域医療センター 国保和良診療所
本郷舞依:みちのく総合診療医学センター
松口崇央:飯塚病院 消化器内科
渡邉力也:福知山市民病院
加藤大祐:名古屋大学医学部附属病院総合診療科
黒木仁史:みちのく総合診療医学センター
寺澤佳洋:豊田地域医療センター
大浦誠:南砺市民病院 総合診療科
小林直子:南砺市民病院 総合診療科
吉本尚:筑波大学医学医療系 地域医療教育学/附属病院 総合診療科
武田 仁: 喜多方市 地域・家庭医療センター
玉井杏奈:台東区立台東病院総合診療科
吉田伸:飯塚穎田家庭医療プログラム
今藤誠俊:医療福祉生協連 家庭医療学レジデンシー・東京 根津診療所

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