*本会の会員は会則により以下のようになっております。
『この会の会員は次の①、②をともに満たすものとする
① 卒業後 3 年目以上、10 年目以内の医師、もしくは家庭医療後期研修プログラム開始後8 年以内の医師であること。
② 日本プライマリ・ケア連合学会員であること。』

第6期若手医師部会「クルー100人プロジェクト」各チームへ興味のある方はこちらからメーリングリストへご加入ください!
「クルー100人プロジェクト登録フォーム」”こちらは初期研修医から加入可能です!!”
海外チーム・地域ごとコミュニティチーム・病院総合医チーム・世代ごとコミュニティチーム・多科・多職種連携チーム

2015年11月17日火曜日

表題翻訳プロジェクト 雑誌名:Annals of Family Medicine 2015年7月号 (翻訳者 大浦誠)

海外家庭医療雑誌/ 表題翻訳プロジェクト副代表&投稿担当の
廣瀬英生(県北西部地域医療センター国保和良診療所)と申します
マルチポストにて失礼します。
尚、本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、
詳細に関しては原著に当たることを推奨いたします。

雑誌名:Annals of Family Medicine;7月号(翻訳者 大浦誠)

◎英語題名:Community Health Center Use After Oregon’s Randomized Medicaid Experiment
◎翻訳題名:オレゴン州のランダム化公的低所得者医療扶助研究後の地域保険センター利用
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/312.full
◎一言コメント:2008年オレゴン地域保険情報ネットワークに登録された34849人を対象に、メディケイド(公的低所得者医療扶助制度)申請の有無で利用するサービスに有意差があるか検証した。メディケイド申請患者でプライマリケア訪問、臨床検査、紹介、画像検査の数が優位に増加していた。

◎英語題名:Salary and Quality Compensation for Physician Practices Participating in Accountable Care Organizations
◎翻訳題名:ACOに参加している医師の給与と品質保証について
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/321.full
◎一言コメント:ACO(Accountable Care Organizations)とは地域の開業医や病院がまとまりひとつの診療母体を形成し外来入院退院後のフォローまで電子カルテで情報を共有する米国のシステムである。プログラムに応じて保険支払い額が決定し、実際のコストとの差額の何割かが診療母体に入る仕組み。医師の診療の全国調査のデータを参照し、ACOの有無とプライマリケア費用がかかるリスクがあるかどうかで3群に分け、給与、生産性、臨床の質、ほかの要因から報酬を推定した。ACOの参加は医師の品質保証とプライマリケアコストのリスク回避には有効だが、実際の給与には反映されていなかった。

◎英語題名:Sleep Apnea and Risk of Panic Disorder
◎翻訳題名:睡眠時無呼吸はパニック障害のリスクとなる
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/325.full
◎一言コメント:睡眠時無呼吸症候群はうつ病や不安障害の発症リスクであることはこれまでに知られている。ではパニック障害はどうなのかというのを調べた研究。デザインはコホート研究。台湾国民健康保険研究データベースで2000年から2010年までに登録されている8704名の睡眠時無呼吸症候群患者と34792名の対照者を比較し、一次エンドポイントはパニック障害の発生とした。結果は合計43496人中263名が平均3.92年でパニック障害を発症され、無呼吸群は117名(1.34%)、対照群は146名(0.60%)で、カプランマイヤー分析ではP<0.001で有意差があり、多変量解析ではハザード比2.17(95%信頼区間,1.68-2.81; P<0.001)であった。

◎英語題名:Erectile Dysfunction and Undiagnosed Diabetes, Hypertension, and
Hypercholesterolemia
◎翻訳題名:勃起不全と未診断の糖尿病、高血圧、高コレステロール血症
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/331.full
◎一言コメント:勃起不全が未診断の糖尿病のスクリーニングに使えるか検証。2001年から2004年の間に国民健康栄養調査に参加した20歳以上の男性に対し、インタビューで勃起不全の有無を確認した。勃起不全と未診断の高血圧、高コレステロール血症、糖尿病との関係についてロジスティック回帰分析を用いて分析した。高血圧と高コレステロール血症は関連を認めなかったが、多変量解析で勃起不全の男性はオッズ比2.2倍(95%信頼区間,1.10 4.37; P<0.001)であった。40-59歳の男性で未診断の糖尿病の割合は、勃起不全なければ1/50、勃起不全があれば1/10と増加した。勃起不全は未診断の糖尿病のスクリーニングを開始するきっかけにする必要がある。

◎英語題名:Correlates of Sexual Activity and Satisfaction in Midlife and Older Women
◎翻訳題名:中年と高齢女性の性的活動と性的満足度の相関
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/336.full
◎一言コメント:過去の研究では、高齢になるほど性的活動が低下していることは知られている。本研究は女性の性的活動の割合と性的行為や性的満足感に関連する要因を明らかにした。2116人の女性にインタビューし1345(61.8%)の女性が過去6ヶ月で性的にアクティブであり、その割合は加齢とともに減少した。既婚者・同居者の性活動はオッズ比7.91,(95%CI,4.16–15.04; P <.001)であり、結婚・同居した60歳以上の女性のうち59.0%は性的にアクティブであった。性的満足度は関係の満足度(P<0.001)、より良いコミュニケーション(P=0.011)および性行為の重要性(P=0.040)に相関があり、年齢とは相関がなかった(P=0.79)。中年高齢の性的満足は心理社会的要因(関係の満足度、ロマンチックなパートナーとのコミュニケーション)と関係していることがわかった。

◎英語題名:Rates of Anomalous Bupropion Prescriptions in Ontario, Canada
◎翻訳題名:カナダ、オンタリオ州における不適切なブプロピオン処方数の割合
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/343.full
一言コメント: うつ病と禁煙補助薬としてのブプロピオンが処方されるが、コカインのように乱用が問題となっている。これまでにブプロピオン誤用の有病率について大規模データが存在しないためオンタリオ州のブプロピオン処方動向を調査した。デザインは横断研究で、2000年4月1日から2013年までのオンタリオ州の公共薬物プログラムに基づく処方数を調べたところ、ブプロピオンの初回処方は4.8%から3.1%に低下していた。代替薬との比較はシタロプラムよりも多く(3.1% vs 2.2% P=0.16)、セルトラリンよりも少なかった(3.1% vs 2.9%, P=0.16
)。潜在的なブプロピオンの不正処方の増加率は0.47%と全体の処方が0.05%以下に対して多く、シタロプラム(0.11%)やセルトラリン(0.12%)よりも有意に高かった(P>0.001)。

◎英語題名:Exploring the Patient and Staff Experience With the Process of
Primary Care
◎翻訳題名:患者とスタッフのプライマリケアのプロセスの経験を探る
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/347.full
◎一言コメント:ハイリスクな患者にはスタッフは高い質のプライマリケアを提供できている。では低所得者や慢性疾患の患者さんとその患者をケアするスタッフはプライマリケアのプロセスでどのような経験をしているのかを調査した21名の未保険またはメディケイドの慢性疾患の患者と3施設30名のプライマリケアスタッフに対して定性的なインタビューを行った。結果はインタビューによりプライマリケアのエピソードのすべての段階で存在していた3つの主要な問題点を明らかにした。その3つとは(1)対話を積極的におこなったにも関わらずケアのエピソードの情報が頻繁に変わる、(2)患者、医師、スタッフでゴールが揃わないためケアができない、(3)患者とスタッフの間で個人的な関係が強くなった、であった。

◎英語題名:Catching Up With the HPV Vaccine: Challenges and Opportunities
in Primary Care
◎翻訳題名:HPVワクチンのキャッチアップ:プライマリケアにおける課題と機会
◎リンクページ:http://annfammed.org/content/13/4/354.full
◎一言コメント:臨床医はHPVワクチンの接種を推奨しているがその接種率は高くはない。そこで医療提供、医療政策、および情報を与えられたあと、意思決定に影響を与える要因について評価を行った。方法はプライマリケア臨床医、保険政策立案者、および免疫の専門家との定性的な徹底的なインタビューを実施し、RIOSネット臨床医のメンバーに配布確認調査を行った。結果は、ヘルス・サービス・デリバリの問題が、HPVのワクチン接種の障壁となっていた。特に適切な患者へのリマインダーや追跡が不十分である。臨床医はワクチンによるがん予防の利点と適齢期であることを強調してカウンセリングアプローチをしたほうが良い。ワクチンの意思決定に社会文化的な影響のエビデンスはなく、過保護になっているわけでもなかった。長期間の調査で、患者の態度やヘルス・システム・デリバリーはワクチン接種にもっとも大きな影響を与えていることがわかった。革新的なコミニュケーション技術への介入ワクチン接種を促進するヘルスシステムの変化に取り組む必要がる。

【参加メンバー】
飯島研史:群馬家庭医療学センター
内堀善有:阪南市民病院 救急・総合診療科
北本晋一:亀田ファミリークリニック館山
佐々木隆徳:みちのく総合診療医学センター 
佐々木隆史:京都家庭医療学センター 医療生協 こうせい駅前診療所
成島仁人:(特定医療法人暲純会)津ファミリークリニック
廣瀬英生:郡上市地域医療センター 国保和良診療所
本郷舞依:みちのく総合診療医学センター 
松口崇央:飯塚病院 消化器内科
渡邉力也:福知山市民病院
加藤大祐:名古屋大学医学部附属病院総合診療科
黒木仁史:みちのく総合診療医学センター
寺澤佳洋:豊田地域医療センター
大浦誠:南砺市民病院 総合診療科
小林直子:南砺市民病院 総合診療科
吉本尚:筑波大学医学医療系 地域医療教育学/附属病院 総合診療科
武田 仁: 喜多方市 地域・家庭医療センター
玉井杏奈:台東区立台東病院総合診療科
吉田伸:飯塚穎田家庭医療プログラム
今藤誠俊:医療福祉生協連 家庭医療学レジデンシー・東京 根津診療所

0 件のコメント:

コメントを投稿