*本会の会員は会則により以下のようになっております。
『この会の会員は次の①、②をともに満たすものとする
① 卒業後 3 年目以上、10 年目以内の医師、もしくは家庭医療後期研修プログラム開始後8 年以内の医師であること。
② 日本プライマリ・ケア連合学会員であること。』

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2015年11月24日火曜日

表題翻訳プロジェクト 雑誌名:American Family Physician ; 5/1 号 (佐々木隆徳)

海外家庭医療雑誌/ 表題翻訳プロジェクト副代表&投稿担当の
廣瀬英生(県北西部地域医療センター国保和良診療所)と申します
マルチポストにて失礼します。
尚、本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、
詳細に関しては原著に当たることを推奨いたします

雑誌名:American Family Physician ; 5/1 号 (佐々木隆徳)
 
Articles
◎英語題名:Diagnosis and Management of Generalized Anxiety Disorder and Panic Disorder in Adults
◎翻訳題名:成人の全般性不安障害とパニック障害の診断と治療について
◎一言コメント:全般性不安障害(GAD)とパニック障害(PD)は身体疾患と判断されて見逃しや誤診が多い.診断と治療を行ううえでスクリーニングおよびモニタリングツールが有用である.GAD-7とSeverity Measure for Panic Disorderは無料で利用できる診断ツールである.治療はSSRIなどの薬物治療と認知行動療法などの精神療法の両者を症例に応じて活用する.ベンゾジアゼピン系は不安症状の抑制には効果を認めるが,依存性や有害性リスクがあるため使用は限られる.薬物療法を行う場合は症状再燃を防ぐために,少なくとも12ヶ月間は漸減せずに継続すべきである.身体活動はGADおよびPDに費用対効果の高い治療方法である.代替補完療法として植物性物質やサプリメントの一部で効果が示唆されているが,充分にエビデンスが示されたものはなく,有害事象も報告されているため注意が必要である.
 
◎英語題名:Provision of Contraception:Key Recommendations from the CDC
◎翻訳題名:避妊対策:CDC推奨事項
◎一言コメント:若年女性や未経産婦に対して避妊対策について情報提供することは重要である.その際は自施設で実施できない避妊方法も含めるべきである.CDCでは5ステップでの避妊対策を推奨している(1:患者とのラポール形成,2:患者の臨床情報や生活歴を把握すること,3:最善で最適な避妊手段を患者が選択できるよう支援すること,4:身体診察をすること,5:避妊方法を決定し,導入,フォローアップを行う).避妊希望の患者に対する配布資料には,各手法の使用方法,有益性と有害性,フォローアップ計画について明記しておく必要がある.問題になるような不正性器出血は殆どなく,避妊対策を継続することで解決する.若年女性やレズビアン,ゲイ,バイセクシャル,トランスジェンダーの人たちに対しても偏見をもたずに丁寧にケアをすること.避妊を開始した際や避妊方法を変更した際に必要となる避妊のバックアップ期間について,および避妊対策を忘れた際(内服忘れなど)の対応方法について図示されている.
 
◎英語題名:Nutrition Myths and Healthy DietaryAdvice in Clinical Practice
◎翻訳題名:臨床における栄養療法の神話と食事指導について
◎一言コメント:食事に関して幾つかの「神話」がある.例えば「カルシウム摂取は骨を強くして骨折を予防する」「脂質を沢山摂取すると太る」「食物繊維を豊富に取るのは体によい」「3500カロリーは体重0.45kgに相当する」などといったもの.しかし実際は異なっている.骨折予防に対するカルシウムサプリメントの効果は限定的で,NNT=1000(住民女性),NNT=111(施設入所者)である.また腎結石のリスクを高め,心血管イベントや大腿骨頚部骨折を高めるかもしれない.高脂質食を摂取し続けると,低脂質食やカロリー制限食と比較して同等以上の体重減少を示す.過剰加工食品(甘味料や乳化剤などをわざわざ添加した食品.Googleで”Ultraprocessed food”を画像検索すると,どういう類のものを示すのか分かる)は飽和脂肪酸が多く含まれており,心血管イベントや全死亡率と関連している.食物繊維を豊富に摂取すると,心血管イベントや糖尿病,便秘,消化器癌,乳がんの発症を抑制する.しかし機能性繊維(Functional fiber:化学合成した繊維や成分を加えたもの)の有用性は示されていない.1週間で3500カロリー制限しても体重0.45kg減量するわけではない.しかし1日100カロリー制限すれば,他に何をしなくても1年後には50%の人が,3年後には95%の人が体重4.5kg減少する.

KEEPING UP TO DATE ( Practice Guidelines ) 
◎英語題名:AAP Releases Policy Statement on Screeningfor Nonviral Sexually Transmitted Infectionsin Adolescents and Young Adults
◎翻訳題名:若年者における非ウイルス性性感染症のスクリーニングに関する指針:アメリカ小児科学会
◎一言コメント:25歳以下の若年女性は毎年クラミジア・トラコマティスと淋菌のスクリーニングを推奨する.陽性の場合はいずれも治療3ヶ月後に再検査をする.60日以内にクラミジア・トラコマティスまたは淋菌感染症と診断された人は,性交渉相手も感染症スクリーニングすべきである.男性と性交渉歴のある若年男性は,毎年クラミジア・トラコマティスと淋菌のスクリーニングを推奨する.

【参加メンバー】
飯島研史:群馬家庭医療学センター
内堀善有:阪南市民病院 救急・総合診療科
北本晋一:亀田ファミリークリニック館山
佐々木隆徳:みちのく総合診療医学センター 
佐々木隆史:京都家庭医療学センター 医療生協 こうせい駅前診療所
成島仁人:(特定医療法人暲純会)津ファミリークリニック
廣瀬英生:郡上市地域医療センター 国保和良診療所
本郷舞依:みちのく総合診療医学センター 
松口崇央:飯塚病院 消化器内科
渡邉力也:福知山市民病院
加藤大祐:名古屋大学医学部附属病院総合診療科
黒木仁史:みちのく総合診療医学センター
寺澤佳洋:豊田地域医療センター
大浦誠:南砺市民病院 総合診療科
小林直子:南砺市民病院 総合診療科
吉本尚:筑波大学医学医療系 地域医療教育学/附属病院 総合診療科
武田 仁: 喜多方市 地域・家庭医療センター
玉井杏奈:台東区立台東病院総合診療科
吉田伸:飯塚穎田家庭医療プログラム
今藤誠俊:医療福祉生協連 家庭医療学レジデンシー・東京 根津診療所

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