海外家庭医療雑誌/ 表題翻訳プロジェクト副代表&投稿担当の内堀 善有(名張市立病院総合診療科)と申します。
マルチポストにて失礼します。
尚、本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が 含まれており、詳細に関しては原著に当たることを推奨いたします。
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●雑誌名:American Family Physician;June 1, 2016(翻訳者 廣瀬 英生)
◎英語題名:Diet and physical activity for cardiovascular disease prevention
◎翻訳題名:心血管疾患予防に対する食事及び運動療法
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◎一言コメント:USにおいて心血管疾患は最も多い死因である。そのうち1/3が運動や食事療法により予防出来うると考えられる。具体的に地中海食(Mediterranean diet)及びDASH食により心血管死の予防効果が証明されている。多価不飽和脂肪酸摂取による心血管疾患の減少は認められているが、ω3脂肪酸による減少効果は認められていない。観察研究による塩分摂取と心血管疾患の増加は証明されているが、減塩療法による疾患の減少は証明されていない。週に150分以上の中等度以上の有酸素運動は、75分以上の激しい運動と疾患予防の上で同等であるといわれている。もともと運動していない方が、週に2回以上のストレッチ体操をすることは心血管疾患の予防につながる。
◎英語題名:Genital Herpes
◎翻訳題名:性器ヘルペス
◎リンクページ:
◎一言コメント:性器ヘルペスは、日常的な性行為感染症であり、世界的には4億人以上が罹患している。単純ヘルペスによる感染で生涯にわたって感染し、周期的に再活性化する。初期感染症状としては、不快感発熱、リンパ節腫が挙げられる。再感染はより症状は軽症であることが多い。また無症状でウイルスを伝播することもありうる。HSV-1とHSV-2は見分けることは困難であるが、その後のマネージメントにおいて違いが生じる。HIV陰性の患者においては治療を行うことはパートナーの感染を減少させる。性器ヘルペスの既往がある方においては、妊娠36週から出産までの抗ウイルス薬の予防的投与が推奨される。アクティブな病変を持つ患者においては、新生児ヘルペスを予防するため帝王切開が推奨される。
◎英語題名:Diagnosis and Management of Ovarian Cancer
◎翻訳題名:卵巣癌の診断と治療
◎リンクページ:
◎一言コメント:卵巣癌は婦人科領域の腫瘍の中では最も致死的である。5年以上生存するのは罹患患者の半数以下にとどまる。すべての世代の女性に罹患しうるが、最も起きやすいのは閉経後である。初期症状は、起きにくく起きたとしても非特異的なたま75%以上の患者が進行癌の形で発見される。リスクファクターとしては、加齢と卵巣癌および乳癌の家族歴である。卵巣癌の症状だと不安がある患者には、経腟的なエコー及びCA125の測定を行うことが望ましい。初期段階での診断が難しいのにもかかわらず、ガイドラインでは平均以上のリスクをもつ女性に対しては、骨盤の診察を含めた卵巣癌のスクリーニングを行うべきだとしている。BRCAなどの遺伝子異常がある女性に対しては、両側卵巣摘出がリスクを軽減するために用いられるかもしれない。プライマリケア医としては、術後の患者のケア及び末期ステージに関わることが重要である。
<海外家庭医療・総合医療雑誌 表題翻訳プロジェクト>
参加者17人 H27.7.4現在
飯島(群馬家庭医療学センター)、内堀(名張市立病院)、北本(亀田ファミリークリニック館山)、今藤(根津診療所)
佐々木隆 徳(みちのく総合診療医学センター)、佐々木隆史(こうせい駅前診療所)、武田(喜多方市地域・家庭医療センター)
玉井(台東区立台東病院)、成島(津ファミリークリニック)、廣瀬(国保和良診療所)、本郷(みちのく総合診療医学センター)
松口(原三信病院)、吉田(飯塚穎田家庭医療プログラム)、吉本(筑波大学)、渡邉(福知山市民病院)、
加藤(三重大学)、黒木(みちのく総合診療医学センター)
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