*本会の会員は会則により以下のようになっております。
『この会の会員は次の①、②をともに満たすものとする
① 卒業後 3 年目以上、10 年目以内の医師、もしくは家庭医療後期研修プログラム開始後8 年以内の医師であること。
② 日本プライマリ・ケア連合学会員であること。』

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2016年6月30日木曜日

【代表 藤谷より重要なお知らせ】 <日本プライマリ・ケア連合学会若手医師部会の今後について>

 2004年に若手家庭医部会として、有志の会として始まった若手医師部会は、これまで12年の長きにわたり、多くの活動をし、プライマリ・ケアの発展に寄与してきました。そして、時代の流れと共に、総合診療を取り巻く環境は大きく変化しております。それに合わせ、若手医師部会も体制を変えていく必要があり、2016年6月12日に第7回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会内で開かれました若手医師部会総会にて、若手医師部会は発展的解散をし、日本プライマリ・ケア連合学会の公式組織である専攻医部会と専門医部会若手医師部門に移行することになりました。今後は、家庭医療専攻医は専攻医部会として、その他の若手世代は専門医部会若手医師部門として活動していきます。
 学会の公式の組織となることで、社会や若手医師の現状に即した、より効果的な活動をしていきます。
 今後も、プライマリ・ケアの発展のため尽力して参りますので、何卒、宜しくお願い申し上げます。

日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師部会 2016年総会報告

日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師部会 2016年総会報告書をアップします。
https://www.dropbox.com/s/to7aj83dekbc7dz/160612_generalmeeting_report_6Y-JPCA_final.pdf?dl=0

2016年6月27日月曜日

表題翻訳プロジェクト American family physician 2016年4月1日号(本郷 舞依)

海外家庭医療雑誌/ 表題翻訳プロジェクト副代表&投稿担当の内堀 善有(名張市立病院総合診療科)と申します。
マルチポストにて失礼します。
尚、本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が 含まれており、詳細に関しては原著に当たることを推奨いたします

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 ●雑誌名:American Family Physician;April 1, 2016(翻訳者 本郷 舞依)
 ●Articles
 ◎英語題名:Common Questions About Recurrent Urinary Tract Infections in Women
 ◎翻訳題名:女性の再発性尿路感染症(UTI)に関する一般的な質問
 ◎リンクページ: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27035041
 ◎一言コメント:
 再発性UTIの定義は一般的に12ヶ月以内に3回以上または6ヶ月以内に2回以上繰り返すUTIとされ、典型的には同じ菌種による再発である。閉経前の女性での危険因子は週に3回以上の性行為、殺精子剤の使用、新規または複数のセックスパートナー、15歳以前にUTI歴があることで、閉経後の女性では主にエストロゲンの低下がリスクになる。再発性UTIの典型的な症状は排尿障害、頻尿、残尿である。複雑感染症や他の疾患を示唆する病歴や身体所見を見つけることは、追加の評価を保証する。少なくとも一つの症候性のエピソードは尿培養によって診断や推奨治療を確定されるべきだ。抗菌薬の短期投与も長期投与も同様に有効である。

 ◎英語題名:Prevention and Treatment of Drowning
 ◎翻訳題名:溺水の予防と治療
 ◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27035042
 ◎一言コメント:アメリカでは1~4歳の小児の溺死が年間4000例発生している。世界保健機関(WHO)は「沈水(submersion)、浸水(immersion)で呼吸障害が生ずること」と溺水を定義している。米国心臓協会(AHA)の改訂ウツタイン溺水フォームと治療ガイドラインはケアや質、予後を導く上で重要である。沈水後できるだけ素早い蘇生をすることが良い結果に繋がる。溺水による不整脈はほぼ低酸素によって起こるので、蘇生は気道と呼吸の確保が最優先で圧迫の前に行う。そして予防は最善の治療である。教育、水泳と水の安全についての授業、適切なプール柵は特に2~4歳の小児に対して最もエビデンスのある有用な介入である。また飲酒は溺水の危険性を劇的に増加させるので、禁酒は推奨される。

 ◎英語題名:Common Questions About Oppositional Defiant Disorder
 ◎翻訳題名: 反抗挑戦性障害(ODD)に関する一般的な質問
 ◎リンクページ: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27035043
 ◎一言コメント:ODDの病因は明確になっていないが、多くの専門家は生物学、心理的、社会的な問題を元にした複数のリスク要因の累積効果で発症すると考えている。DSM-5のODD診断基準は、怒りやイライラした感情、理屈的あるいは反抗的な行動、執念深さといった特徴が少なくとも4つ存在し、6ヶ月間持続しなければならない。ODDの診断ツールは特にないが、様々なツールを使い他の精神状態を評価することで診断に役立つ。しばしばODDはADHD、行動障害、不安や抑うつなどの気分障害と併存する。子供および家族への行動療法がODDの症状を改善する。医薬品はODDの第一選択治療として推奨されていない。しかし併存疾患を薬で治療することでODDも改善する可能性はある。ODDの通常経過は十分定義されていない。社会的スキル改善、紛争解決、アンガーマネジメントといった就学前の子供へのプログラムは、ODDのリスクを減らすことができる。

 ●Departments
 Cochrane for Clinicians
 PUTTING EVIDENCE INTO PRACTICE
 ◎英語題名:Pilates for the Treatment of Low Back Pain
 ◎翻訳題名:腰痛治療のためのピラティス
 ◎リンクページ: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27035039
 ◎一言コメント:慢性腰痛の患者において、認定講師によるピラティスエクササイズが痛みを改善し、障害を減らすという低~中等度の質のエビデンスがある。ただ、腰痛の治療のためにピラティスが他の運動よりも優れているかどうかは不明である。副作用は稀である。(推奨度B:患者志向のエビデンスで一貫性はなく質は限定される)

 Cochrane for Clinicians
 PUTTING EVIDENCE INTO PRACTICE
 ◎英語題名:Impact of Antenatal Dietary Education and Supplementation on Maternal
 and Infant Health Outcomes
 ◎翻訳題名:妊産婦と乳幼児の健康上のアウトカムに対する出産前の食事教育やサプリメントの影響
 ◎リンクページ: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27035040
 ◎一言コメント:出産前の食育は、栄養不良の女性において早産率を低下させ、乳児の出生時体重を増加させる。妊娠中の女性にバランスの取れたエネルギーとタンパク質のサプリメントを提供することは、死産や低出生体重児、早産児のリスクを減らす(NNT=28)。高タンパクのサプリメントの使用はあらゆるアウトカムを改善しないし、胎児への害を引き起こす可能性がある。食事教育もサプリメントも母体のアウトカムに影響は与えない。(推奨度B:患者志向のエビデンスで一貫性はなく質は限定される)

 FPIN's Help Desk Answers
 ◎英語題名:Nonpharmaceutical Treatment of Anxiety in Institutionalized Older
 Adults
 ◎翻訳題名:施設入所の高齢者における不安の非医薬品治療
 ◎リンクページ: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27035044
 ◎一言コメント:高齢者における不安治療には認知行動療法(CBT)またはリラクゼーショントレーニングの単独あるいは組み合わせ使用がよい。また音楽療法は高齢者の不安を減少させるのに使われうる。施設介護者が適切に訓練を受けていることも高齢者の不安を減らす。

 Practice Guidelines
 ◎英語題名:AHA/ATS Release Guidelines on the Diagnosis and Treatment of
 Pediatric Pulmonary Hypertension
 ◎翻訳題名:AHA/ ATSが出した小児肺高血圧症の診断と治療についてのガイドライ
 ◎リンクページ: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27035048
 ◎一言コメント:最初の肺高血圧症の診断は、病歴、身体診察、診断検査と心機能の正式評価を組み合わせて行うべきである。心エコー検査はスクリーニングおよび定期検査の推奨ツールであり、さらに臨床状態および治療の変化を評価するために実施されるべきである。心不全のために使われる従来の治療法はまた右心室不全を治療するためにも使用される。重度の肺高血圧症の患者には、競技スポーツに参加しないよう勧める必要がある。

 POEMs
 ◎英語題名:Best Approaches to Physical Diagnosis of Acute Red Eye
 ◎翻訳題名: 急性眼充血の身体的診断へのベストアプローチ
 ◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27035045
 ◎一言コメント:
 急性眼充血の患者で、瞳孔の収縮を介した羞明と1mm以上の瞳孔不同があれば、重篤な眼疾患(ブドウ膜炎、角膜炎、角膜剥離、強膜炎など)であることを意味し適切な紹介を必要とする。朝の目脂の欠如は細菌性結膜炎を除外する良い方法だが、しかし本研究では一貫して抗生物質治療のために細菌がもたらす症状や徴候は特定していない。(エビデンスレベル2a−)

 POEMs
 ◎英語題名:Useful Signs and Symptoms of Severe Intracranial Injury After Minor
 Head Trauma
 ◎翻訳題名:軽微な頭部外傷後の重度頭蓋内損傷を診断するのに有用な徴候と症候
 ◎リンクページ: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27035046
 ◎一言コメント:軽微な頭部外傷後の重度頭蓋内損傷のリスクがある成人を特定するには、個別のリスク、臨床徴候、症状が有用である。The
Canadian CT Head Rule と New Orleans
Criteriaに当てはまらない成人は重度頭蓋内損傷のリスクが低いと判断できる。(エビデンスレベル=1b)

<海外家庭医療・総合医療雑誌 表題翻訳プロジェクト>
参加者17人 H27.7.4現在
飯島(群馬家庭医療学センター)、内堀(名張市立病院)、北本(亀田ファミリークリニック館山)、今藤(根津診療所)
佐々木隆 徳(みちのく総合診療医学センター)、佐々木隆史(こうせい駅前診療所)、武田(喜多方市地域・家庭医療センター)
玉井(台東区立台東病院)、成島(津ファミリークリニック)、廣瀬(国保和良診療所)、本郷(みちのく総合診療医学センター)
松口(原三信病院)、吉田(飯塚穎田家庭医療プログラム)、吉本(筑波大学)、渡邉(福知山市民病院)、
加藤(三重大学)、黒木(みちのく総合診療医学センター)

2016年6月9日木曜日

表題翻訳プロジェクト American family physician 2015年12月15日号(内堀善有)

海外家庭医療雑誌/ 表題翻訳プロジェクト副代表&投稿担当の内堀 善有(名張市立病院総合診療科)と申します。
マルチポストにて失礼します。
尚、本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が 含まれており、詳細に関しては原著に当たることを推奨いたします。


AAFP 2015 December 15

●雑誌名:American family physician 2015年12月15日号

Articles

◎英語題名:Nonpharmacologic Management of Chronic Insomnia
◎翻訳題名:慢性の不眠症の薬物療法以外のマネジメント
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26760592
◎一言コメント:不眠症は、人口の10-30%に影響を与え、925億-1075億ドルのコストが、かかっている。

不眠症は、睡眠障害国際分類第3版では、3つの主なカテゴリーに分けられる。
不眠症の診断の基準としては、入眠障害、睡眠の維持の障害、早朝覚醒がある。

不眠症の定義は、Table.1に記載あり。Choosing wisely campaignからは、アメリカ睡眠医療学会から、
慢性の不眠症に対しては、初期治療として、睡眠導入剤の使用は、避けることが、推奨されている。

また、認知行動療法を提供も推奨されている。また、アメリカ老年医学会は、不眠症、せん妄等に対しての初期治療として、

ベンゾジアゼピンや他の鎮静作用のある睡眠薬の使用をしないよう推奨している。

Figure1に、不眠症のマネジメントのプロトコルの記載がある。


◎英語題名: Management of Sickle Cell Disease: Recommendations from the2014 Expert Panel Report
◎翻訳題名:鎌状赤血球症のマネジメント:2014年のエキスパートパネルレポートからの推奨
◎リンクページ:http://www.aafp.org/afp/2015/1215/p1069.html
◎一言コメント: 家庭医は、鎌状赤血球症の家族の初期もしくは、唯一のヘルスケアのリソースとなることがある。

最近、出版されたガイドラインは、健康の維持、急性期のケア等の重要な推奨を与えている。

最も重要な診療活動のこの概略のハイライトは、コミュニティケアセッティングで、実行可能かつ実行すべきであることである。
鎌状赤血球症の子供は、生後から少なくとも5歳になるまでは、予防的にペニシリン投与をうけるべきである。

また、鎌状赤血球症の全ての人が、侵襲性の肺炎球菌感染症を予防するために、ワクチン接種を受けるべきである。

9か月以上の鎌状赤血球症の子供は、ハイドロキシウレア治療を勧めて、使用することをサポートすることに、強いエビデンスがある。</div>

なぜなら、ハイドロキシウレアは、限定的な副作用のみで、血管閉塞や急性の胸部症候群を減らすことができるからである。


◎英語題名:Evaluation of the Solitary Pulmonary Nodule
◎翻訳題名: 孤立肺結節の評価について
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26760594
◎一言コメント:孤立肺結節は、放射線医学的な画像でよく認められる所見である。
度々、偶然、発見され、確定診断に向けてのワークアップが必要となるかもしれない。
孤立性肺結節は、境界明瞭な円形の3cmまでの領域で、空気に満ちた肺によって囲まれている。
結節が、一旦見つかると、診断的かつ放射線医学的な特徴と量的なモデルが、悪性の可能性を決めるのに用いられる。
評価は、結節の大きさと悪性の確立のアセスメントによって、導かれる
外科的切除や非外科的な生検は、連続的な画像評価ではっきりと増大を示している充実性もしくは、

一部が充実性の孤立性肺結節を認める患者に行われるべきである。
少なくとも2年は安定している充実性の孤立肺結節は、典型的には 、更なる評価は、必要ではない。

充実性の孤立肺結節のマネジメントが、直径に応じて、Figure.2にまとめられている。


Departments
KEEPING UP TO DATE
U.S. Preventive Services Task Force
◎英語題名: Screening for Iron Deficiency Anemia in Young Children:
Recommendation Statement

◎翻訳題名:幼児における鉄欠乏性貧血のスクリーニングの推奨ステートメント
◎リンクページ: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26760600
◎一言コメント: USPTF(米国予防医学専門委員会)は、6から24か月の乳幼児に対して、現在のエビデンスでは、

鉄欠乏性貧血のスクリーニングは、有益と有害のバランスを評価不十分であると結論付けた。
1歳から5歳までの乳幼児における鉄欠乏性貧血は、米国で、約1-2%である。
鉄欠乏性貧血に対して、ヘモグロビンの測定が、感度は高いが、特異度が低く、乳幼児期の貧血の大多数は、鉄欠乏性貧血によるものではなかった。


Practice Guidelines

◎英語題名: ACP Releases Best Practice Advice on Screening for Cervical Cancer

◎翻訳題名:子宮頸癌のスクリーニングにおいてのACP(米国内科学会)のベストプラクティス発表について
◎リンクページ: http://www.aafp.org/afp/2015/1215/p1107.html
◎一言コメント: キーポイント)HPVテストなしでの細胞診は、21歳から開始し、3年毎に施行されるべきである。

HPVテストを伴う細胞診は、30歳から開始し、5年毎にされるべきである。

スクリーニングは、3回の連続した細胞診で陰性であった場合や

過去5年間で最も直近に施行されたテストで2回連続したHPVテストと細胞診が陰性の場合は、65歳で終了すべきである。


STEPS

◎英語題名: Timothy Grass Pollen Allergen Extract (Grastek) for Allergic Rhinitis
◎翻訳題名:アレルギー性鼻炎に対して、チモシー(イネ科の牧草)花粉のアレルゲン抽出液(グラステック)治療について
◎リンクページ: http://www.aafp.org/afp/2015/1215/p1096.html
◎一言コメント: チモシー花粉のアレルゲン抽出液治療(グラステック)は、舌下免疫による治療法である。

5歳から65歳までの結膜炎を伴ったり、伴わなかったりする患者のチモシーによるアレルギー性鼻炎の治療に用いられる。

グラステックは、アレルギー性鼻炎に対して少し改善をもたらす。

注射による脱感作療法をしたくない患者に、アレルギー症状を改善する治療のオプションとなるかもしれない。

確立しているアレルギー治療や皮下注射による脱感作療法と比較は、されていない。

<海外家庭医療・総合医療雑誌 表題翻訳プロジェクト>

参加者17人 H27.7.4現在
飯島(群馬家庭医療学センター)、内堀(名張市立病院)、北本(亀田ファミリークリニック館山)、 今藤(根津診療所)

佐々木隆徳(みちのく総合診療医学センター)、佐々木隆史(こうせい駅前診療所)、武田(喜多方市地域・家庭医療センター)

玉井(台東区立台東病院)、成島(津ファミリークリニック)、廣瀬(国保和良診療所)、本郷(みちのく総合診療医学センター)

松口(原三信病院)、吉田(飯塚穎田家庭医療プログラム)、吉本(筑波大学)、渡邉(福知山市民病院)、

加藤(三重大学)、黒木(みちのく総合診療医学センター)




以上