*本会の会員は会則により以下のようになっております。
『この会の会員は次の①、②をともに満たすものとする
① 卒業後 3 年目以上、10 年目以内の医師、もしくは家庭医療後期研修プログラム開始後8 年以内の医師であること。
② 日本プライマリ・ケア連合学会員であること。』

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2016年8月30日火曜日

表題翻訳プロジェクト American family physician 2015年12月1日号(飯島研史)

表題翻訳プロジェクト American family physician 2015年12月1日号(飯島研史)
海外家庭医療雑誌/ 表題翻訳プロジェクト副代表&投稿担当の内堀 善有(名張市立病院総合診療科)と申します。
マルチポストにて失礼します。
尚、本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が 含まれており、詳細に関しては原著に当たることを推奨いたします。
●雑誌名:American Family Physician ; 2015年12月1日号
翻訳者:飯島研史
Articles
◎英語題名:Treatment of Allergic Rhinitis
◎翻訳題名:アレルギー性鼻炎の治療
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26760413
◎一言コメント
アレルギー性鼻炎はありふれた呼吸器疾患であり、QOLや生産性に影響を与えるだけでなく、喘息等の他疾患を増悪させうる。治療は、患者の年齢と症状の重症度に基づくべきである。患者は、自分の病状について教育され、既知のアレルゲンを避けるよう助言される。コルチコステロイドの鼻腔投与は最も効果的な治療であり、QOLに影響する症状の存在に対するfirst
line治療であるべきである。コルチコステロイド鼻腔投与にも反応しないさらに重度の疾患では、抗ヒスタミン薬、充血除去薬、クロモグリク酸、ロイコトリエン受容体拮抗薬、鼻洗浄などの非薬物的治療といったsecond
line治療がなされるべきである。皮下または舌下の免疫療法は、通常の治療で症状を十分にコントロールできないときや患者がアレルギー性喘息の際に考慮されるべきである。防ダニ素材のマットレスや枕カバーの使用、母乳、空気濾過システム、乳児期の離乳食の延期や小児期のペット暴露の延期などは、支持するエビデンスがない。
◎英語題名:Newborn Respiratory Distress
◎翻訳題名:新生児呼吸急迫
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26760414
◎一言コメント
呼吸急迫の新生児は一般的に、呼吸数60/min以上の多呼吸を呈する。呻吟や陥没呼吸、鼻翼呼吸、チアノーゼなどを呈することもある。一時的な新生児多呼吸を含めた一般的な原因としては、呼吸窮迫症候群、胎便吸引症候群、肺炎、敗血症、気胸、新生児遷延性肺高血圧症、delayed
transitionがある。先天性心疾患、気道奇形、先天的代謝異常はより少ない。初期評価は詳細な病歴と身体診察である。医師は、バイタルサインをモニターし、SpO2を測定し、血液ガス測定を考慮する。胸部レントゲンは診断に役立つ。血液培養、血算、CRPの測定は敗血症の評価に有用である。呼吸急迫となった新生児のほとんどは、呼吸の補助や非侵襲的な方法で治療が可能である。酸素は、バッグマスク、鼻カヌラ、酸素フード、nasal
CPAPで投与される。さらに重症なケースでは呼吸器による補助が行われる。新生児は、24時間後から退院までパルスオキシメトリーで重度の先天性心疾患を検査されるべきである。新生児科へのコンサルトは、疾患が医師の技量や慣れたレベルを越えた場合、重症新生児で診断が不明確である場合に推奨される。
◎英語題名:Evaluation of Patients with Leukocytosis
◎翻訳題名:白血球増多症患者の評価
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26760415
◎一言コメント
白血球数の上昇には、悪性・良性を含む多くの原因が考えられる。年齢特異的または妊娠に特異的な白血球正常範囲を用いることが重要である。末梢血塗抹を含む全血血算を繰り返すことで、白血球の種類や成熟度、白血球の均一性、中毒性顆粒形成といった有用な情報を得られるかもしれない。白血球分類では、寄生虫感染やアレルギー状態での好酸球増多を示したり、ウイルス性疾患の小児のリンパ球増多が明らかになったりするかもしれない。白血球増多は、特に細菌性の感染症の一般的な徴候であり、医師は他に感染症の徴候や症状を確認する。骨髄の巨大な貯蔵庫と血管辺縁の好中球プールによって、末梢白血球数は特定の刺激後1時間で2倍にもなりうる。急性の白血球増多を引き起こすストレッサーには、外科手術、運動、外傷、精神的ストレス等も含まれる。他の非悪性の原因には、特定の薬物、無脾症、喫煙、肥満、慢性炎症状態などがある。血液学的な悪性疾患を示唆する症状としては、発熱、体重減少、アザ、疲労などがある。悪性疾患を否定できないか、他に疑わしい原因がない場合、血液病専門医や腫瘍専門医への紹介が必要である。
KEEPING UP TO DATE
POEMs
◎英語題名:Some Benefit to Treating Mild Hypertension to Prevent Stroke, CV
Deaths, and Overall Mortality
◎翻訳題名:軽症高血圧の治療は、脳卒中、心血管死、総死亡の予防に、いくらかの利益がある
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26760418(No abstract)
◎一言コメント
メタ分析。軽症高血圧の平均5年以上の治療におけるアウトカムを評価。心血管イベント、冠動脈イベント、心不全総数の優位な減少はなし。5年間でのNNTは、脳卒中173(95%CI
108-810)、心血管死95(95%CI 55-1188)、総死亡率99(95%CI
66-273)、心不全は有意差なし、冠動脈イベントは有意差なし。5.6%の患者が副作用のため治療を中止した(NNH36,95%CI
23-75)。信頼区間の幅が大きく、結果の評価には注意が必要。
◎英語題名:Adding Sitagliptin Does Not Reduce or Increase the Risk of
Cardiovascular Outcomes
◎翻訳題名:シタグリプチンの追加は、心血管アウトカムのリスクを増加も減少もさせない。
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26760419(No abstract)
◎一言コメント
HbA1c 6.5から8.0の2型糖尿病患者(重症低血糖既往、腎障害患者などは除外)におけるRCT。既存の治療にシタグリプチン50mgを追加。プライマリアウトカムは心血管死、非死亡心筋梗塞または脳卒中、不安定狭心症での入院の複合アウトカムであったが、有意な低下は認めなかった。HbA1c値は、開始4ヶ月後で0.4%低下したが、その後は効果は鈍化した。
◎英語題名:An Oral Appliance Does Not Improve Sleep in Patients with Less
Severe Sleep Apnea
◎翻訳題名:オーラルアプライアンス(口腔器具)は、非重症睡眠時無呼吸患者の睡眠を改善しない。
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26760420(No abstract)
◎一言コメント
オーラルアプライアンスとは、下顎を前方に出して気道を確保するマウスピースなどの器具。AHI<30の軽症〜中等症患者96名におけるRCT。正規のアライアンスとプラセボのアライアンスとの盲検比較。日中の眠気や、他の夜間良眠の指標を改善させない。しかし、無呼吸スコア、いびき、足のrestlessnessを減少させる。これらの改善は、毎晩患者の下肢の動き(restlessness)や、大いびきから無呼吸に至る不規則な呼吸に耐えてきたベッドパートナーにとって価値があるかもしれない。
◎英語題名:CCTA and Radionuclide Stress Testing Similar for Evaluation of Chest Pain
◎翻訳題名:胸痛患者の評価において、CCTAは、放射線核種のストレステストと同等である。
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26760421(No abstract)
◎一言コメント
非盲検のRCT。一次アウトカムは、イメージングから1年以内の血行再建につながらない心臓カテーテルの割合である。2群間に有意差はみられなかった。サブグループ解析では異なった結果となった。CCTAグループで、血行再建を伴わないカテーテル検査が少ない傾向があった(25%vs52%)。2次アウトカムは、入院日数、主要有害心血管イベント、その後の再診(再入院や更なるイメージングを含む)であった。CCTAグループは、放射線暴露が少なく、患者の体験もよいと報告された。
Practice Guidelines
◎英語題名:AHA/ACC/ASH Release Guideline on the Treatment of Hypertension and CAD
◎翻訳題名:高血圧とCADの治療ガイドライン
◎リンクページ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26760422(No abstract)
◎一言コメント
なし
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<海外家庭医療・総合医療雑誌 表題翻訳プロジェクト>
若手部会からの自発的なプロジェクトです。
全ての家庭医・総合診療医に最新の情報を。
・他人を批判しないで、建設的な意見を言える人
・家庭医療・総合診療が好きな人
この2つが参加条件です。
参加者17人 H27.7.4現在
飯島(群馬家庭医療学センター)、内堀(名張市立病院)、北本(亀田ファミリークリニック館山)、今藤(根津診療所)、佐々木隆徳(みちのく総合診療医学センター)、佐々木隆史(こうせい駅前診療所)、武田(喜多方市地域・家庭医療センター)、玉井(台東区立台東病院)、成島(津ファミリークリニック)、廣瀬(国保和良診療所)、本郷(みちのく総合診療医学センター)、松口(原三信病院)、吉田(飯塚穎田家庭医療プログラム)、吉本(筑波大学)、渡邉(福知山市民病院)、加藤(三重大学)、黒木(みちのく総合診療医学センター)